間違った介護用語は悪循環を生む

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その間違った用語、悪循環を生んでませんか?

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間違った使い方

介護用語のひとつに「ニンチ」という用語があります。「ニンチの人がこれから増えていくからね」「お父さんのニンチが進んできて」と話す人がいますが、実はこの使い方、間違っているんです。もし普段使っているなら今すぐ認識を改めましょう!
認知症の方に対して「ニンチ」と表現することは侮蔑表現となるため、介護業界では不適切としています。しかし、介護をされている家族や介護職が日常的に使っており、多方面で乱用してしまった結果、間違った使い方が一般的な使い方として蔓延してしまったんです。
そもそも、「ニンチが進んだ」という言葉自体が日本語として間違っていますよね。認知症の症状が進んでいることを伝えたいなら「記憶障害が進んだ」と伝えるべきです。「ニンチが進んだ」だと認知機能が向上した、という反対の意味に捉えられてしまいます。使い方を間違えた、で済めばそれほど問題はありませんが、ニンチのように間違った使い方が多方面に広まり一般化してしまう可能性もあるので注意しましょう。

介護者の負担が増えることも

間違えて介護用語が広まっていくことは、介護者の負担を増大させてしまう可能性もあります。認知症の症状が進行していくと言語を理解することが難しくなるため、コミュニケーションが取りにくくなります。コミュニケーションが取りにくくなるのは介護を始めてから数年後になることが多いのですが、その頃には長年の介護疲れが蓄積しているため介護をしている家族もさほど余裕がない状態です。そのため、ストレスも溜まり、「どうせ言っても分からないだろうから」という気持ちからついキツイ言葉を言ってしまうことがあります。ですが、認知症の人は意味を理解できなくても、ひどいことを言っているかどうか、相手が攻撃的かどうか、は判断できます。また、好き嫌いの感情を受け取る力は残っているため、キツイ言葉を言われたら悲しい気持ちになったり、バカにされていると感じたりします。
悪口や陰口を言われたら誰だっていい気はしませんよね?認知症だからと言って何でも言ってもいい、というわけではないんです。認知症の人の悲しい気持ちや恐れは周辺症状となって表面化すると介護者の負担がさらに増えるだけです。例え介護用語であっても、本人を尊重した言葉かどうか、間違った使い方をしていなかどうか、を一度立ち止まって考えてみましょう。
認知症の周辺症状に悩まされている、苦しんでいる、という人は、実は間違った介護用語を使っていたせいで不安や混乱を冗長させているのかもしれませんよ。

「伝えるため」であることを忘れずに