介護用語は相手に応じて使いどころを考える

【おすすめ記事】 まずはこの3つの用語から

相手に応じた言葉選びをしよう

使い分けのポイントがある介護用語

分かりやすい用語に変える

「傾眠」や「特変」という言葉の意味をすぐに理解できるのは、すでに介護施設で働いている人か学校で勉強をしている人くらいのものだと思います。この2つの言葉は介護施設で日常的に使われている専門用語ですが、一般的な言葉ではないため実践経験のない人や知識のない人が理解できないのは当たり前です。経験者しか分からない専門用語を要介護者やその家族に使っても、正しく理解できるとは言えません。むしろ、言葉の意味が分からず困ってしまう可能性もあるかもしれません。そのため、このような難解な用語を分かりやすくしよう!と、専門用語の見直しを進めていく動きが広がっているんです。
ですが、介護に関する知識が豊富な専門家同士の間では介護用語を使う方がコミュニケーションを取りやすいこともあります。そのため、スタッフ同士では専門用語を使ってコミュニケーションを取り、要介護者やその家族には分かりやすい表現に変える、といったように意識して使い分けることが大切です。要介護者やその家族の前でも職員と同じ言葉で伝えても、相手に伝わりづらく無駄なストレスを与えてしまうだけです。相手に応じて言葉を選ぶようにしましょう。

介護記録は読む人を意識して

介護の言葉選びは対面でのコミュニケーションだけに意識するものではありません。なぜなら記録として情報を共有することもあるからです。介護の現場でよくあるのが「介護記録を通したコミュニケーション」です。これは介護スタッフや施設内での情報共有に用いられるものと、ご家族への情報共有で用いられるものの2パターンあります。
介護スタッフや施設内での情報共有をするための介護記録では、ある程度専門用語を交えて記録することが好ましいです。パッと見て状況が分かるように、端的に伝えることを意識するといいですよ。
一方、家族が目にする介護記録は、介護現場で使われている略語や医学用語などは避けて、誰にでも伝わる言葉を選びましょう。要介護者が「どのような生活をしているか」「日常でどのようなことが行われているのか」を、専門的な知識がなくても分かるものを意識するといいでしょう。

専門用語の伝え方

介護記録をつけていると、「この言葉ってこれ以外に表現できないのでは?!」と迷うこともあるかもしれません。例えば理学療法士はPTと言い換えることができますが、家族がPTの意味を正しく理解しているとは限らないため、正式名称の理学療法士と伝えたり、「リハビリの先生」とくだけた表現で伝えるのもアリ!
「PTさんが運動をしてくれました」ということを伝えるのであれば、「理学療法士さんが床ずれを気にしながらリハビリを兼ねて運動をしてくれました」というニュアンスで伝えると誰でもリハビリの専門家が運動をしてくれたと分かります。